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「むろん、住人たちの頭や肩の上には猫が一匹ずつ載っていて、あたかも彼らの分身のように辺りを睥睨している」――「わたし」と「猿の顔をした子」の「猫島」の旅を、日本語とスワヒリ語のポリフォニーが奏でる第四詩集。
1954年宮城県生まれの写真評論家/きのこ文学研究家/詩人である飯沢耕太郎の第四詩集『猫島からの帰還』をふげん社から刊行いたします。
1996年『写真美術館へようこそ』でサントリー学芸賞を受賞した同年、第一詩集『茸日記』を刊行。コロナ禍以降に詩人としての活動が活発化し、2022年に第二詩集『完璧な小さな恋人』(ふげん社)で第28回中原中也賞最終選考作に、2024年には第三詩集『トリロジー 冬/夏/春』で第32回萩原朔太郎賞最終候補作に選出されています。
『猫島からの帰還』は、著者が20代後半に、東アフリカに滞在した後に執筆された1982年の原稿をもとに大幅に加筆して構成されました。ケニヤの東海岸、ソマリアとの国境に近いにラム島がモデルとなっている、猫たちが支配する「猫島」を、「わたし」と「猿の顔をした子」が旅をする、16篇の連作詩です。
アフリカの大地が匂い立つような、スワヒリ語と日本語の豊かなポリフォニーによって象づくられた「猫島」の世界を、画家・高橋克之の挿絵が彩ります。宮添浩司による瀟洒な造本にもご注目ください。
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■本書より
「――さあ どこにでも行くがいい
でももう二度と戻ってくるなよ
小さな老人たちのなかでいちばん小さなひとりが
そう言いながら背中を蹴とばして
わたしたちを 石と骨の土地へと送り出した。」(「対岸Ⅰ」より)
「Lakini dunia yazunguka
Dunia ya wanadamu
Dunia ya wanyama
Dunia ya samaki
Dunia ya miti
Dunia ya wapenzi
Dunia ya wafu
Dunia zote zazunguka milele
だけど世界は回りつづける
人たちの世界
動物たちの世界
魚たちの世界
樹々の世界
恋人たちの世界
死者たちの世界
すべての世界は永遠に回りつづける」(「世界」より)
「俺は俺ら俺らは俺壱匹にして無数なる∞なる個
俺(俺ら)の声をあわせ🖐️みゃうみゃうと唱和せり
みゃうみゃうと湧きおこる唄
kisiwa cha pakaを包みて
雲の柱となり
雨雨雨雨となり🖐️猫島に降りそそぐ
muvua inanyesha sana」 (「猫が…」より)
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『猫島からの帰還』
著者:飯沢耕太郎
挿画:高橋克之
出版社:ふげん社
発行日:2025年1月23日
デザイン:宮添浩司
仕様:スイス装・上製本/110×250mm
頁数:115頁
ISBN:978-4-908955-38-9
価格:¥2,970(税込)
目次:
麻袋
対岸Ⅰ
猫島
二つ目の頭
声たち
樹木
草原の椅子づくり
唄
月の光
ナイロビ
赤い湖
大きな顔
対岸Ⅱ
世界
猫が…
身ごもり
『猫島からの帰還』ができるまで
■プロフィール
飯沢耕太郎
写真評論家、きのこ文学研究家、詩人。1954年、宮城県生まれ。1977年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書、1996年、サントリー学芸賞受賞)ほか著書多数。近刊に、コラージュとドローイング+旅日記『African Sketchbook』(PURPLE、2024年)がある。
■展覧会情報
飯沢耕太郎詩集『猫島からの帰還』刊行記念
高橋克之 挿画展
会期:2025年1月31日(火) 〜2月23日(日)
開館時間:火〜金 12:00〜19:00 土・日 12:00〜18:00
休廊:月曜日、2月11日(火)
会場:ふげん社
〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12
詳細はこちら
https://fugensha.jp/events/250131izawa/