出版社:LIBRARYMAN
判型:245x305mm
頁数:80ページ
発行年:2019
エディション:700
オランダ人フォトグラファー、アンネマリーク・ヴァン・ドリンメレン(Annemarieke van Drimmelen)の作品集。故郷に向かう旅に伴う心の痛みとその美しさを写し出した、親密な空気感をもつポートレイトを収録。作者が初めてカメラを手に入れたのは10歳の時だった。亡くなった母親のカメラを受け継いだ彼女は、写真に取り組むことによって母を少しだけ身近に感じることができたという。父親の手や、水面に反射する光といった何気ない瞬間をとらえることは、日記をつけるのと同じだった。最近になって、作者はこの精神的なアプローチに再び立ちかえる必要性を感じたという。そこからアリゾナ、カリフォルニア、パリ、アムステルダムを巡る旅に出て、小さな瞬間を写真に収めていった。写真として可能な限り近づいて撮影した添え木をつけられたサボテン、壁や石ころ、ジョージア・オキーフの絵画、ビーチに忘れられたタオル、友達の古い椅子、女性や男性のイメージ。そこからは、重ね合わされた亡き母への思いが切々と伝わってくる。ここには、まごうことなき家族のぬくもりに、初めて母親になる作者自身の心情が絡み合った物語が紡ぎだされている。サイアノタイプ(※註)を自ら手刷りすることによって母親が愛した青を思い出せる限り忠実に再現することを試みた。作家による亡き母に捧げた序文を収録。
※註 青写真。1800年代に英国の植物学者であり最初の女性写真家とされるアンナ・アトキンスが考案した技法。
(出版社紹介文より)