イメージ/テキスト:苅部太郎
デザイナー:井上麻那巳
編集:宮本裕人
プルーフリーディング:スージー・クリーブル
プリントディレクター:大塚圭太
発行元:トラブルメイカーズ・パブリッシング
印刷製本:株式会社 八紘美術
言語:日英
発行日:2023年9月22日
印刷:日本
ページ数:128頁
判型:182 × 257 x 10mm、ハードカバー(表紙は3種類)
部数:初版500部
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この世は信じられているよりも、ずっといいかげんにコピペされたバージョンだらけで出来ているらしい。意味の誤読が、この世界を残酷なものにも、豊かなものにも変えてしまう。思い込みが人を傷つけ、コピーエラーが芸術や生物の進化をドライヴする。オリジナルとモドキ、人と道具は集積し、いまも誤配が別様の星座を結び続けている。
—— 作者あとがき「誤読が星座を結び続ける」より
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苅部太郎は、リアルタイムで放送されるTV番組に意図的にグリッジを発生させた液晶画面を、デジタルカメラで撮影し、その画像データをトリミングした画像を「現代メディア環境における洞窟壁画」としてAI「Adobe Sensei」が搭載されたPhotoshopに入力します。風景写真の画像認識・生成システムを攪拌して出力された作品で構成と、その生成された「風景画」をAIに解説させたキャプションが、一点一点の作品に付随し、本書は構成されています。
これらの作品画像は、「一度どろどろに体組織を溶かした蛹が蝶となるように、人類の集合的資格像を再組織化したピクチャー」である、と作家はあとがきで語っています。
1988年生まれの新進作家が、最新のテクノロジーを駆使して人類の「ものを見る」営為を考察した刺激的な一冊です。端正な布ばりの造本も美しいです。
本作のタイトルとコンセプトは、ギリシャ神話のオリオンの死に関する話が着想源の一つとなっています。