<2023年日本写真協会賞 学芸賞受賞作>
320P
株式会社ゲンロン
2020.3
18.8×13.2×2.7
本書は、だれもがカメラを持ち歩き、写真屋もいらなくなり、人は顔ばかりをシェアするようになった激変のまっただ中にある写真について論じた、工場写真の第一人者大山顕のラディカルな写真論です。
大山は、自撮りからドローン、ウェアラブルから顔認証、ラスベガスのテロから香港のデモまで、写真を変えるあらゆる事象を横断します。
現在の写真の状況は、SNSとスマートフォンがセットになったときに革命となり、その象徴が自撮りである、と大山はいいます。自撮りの隆盛は、従来の写真論の根幹の一つである、撮るものと撮られるものの間の対立を、うやむやにしてしまいました。そして、スマートフォンのカメラによって、もはや写真のクオリティに差がなくなり、職業カメラマンも趣味の写真好きも同じSNSで作品を発表するようになった現在、写真家の条件とは、「写真とは何なのかを言語化できること」であると結論づけます。ゆえに本書はあらためての大山の「写真家宣言」でもあるのです。